PowerVRグラフィックスアーキテクチャ

タイルベース遅延レンダリング(TBDR)

PowerVRのアーキテクチャは、タイルベース遅延レンダリング(TBDR)という概念を基礎としています。ほぼすべてのパソコン/ゲーム機用グラフィックスエンジンが使用する即時モードレンダリング(IMR)とは異なり、TBDRは、シーン処理の可能な限り早い段階でイメージのレンダリングに必要な処理を最小限に留めることで、エンドユーザーが見ることになるピクセルのみが処理リソースを消費するようにします。この手法はメモリと電力の消費を最小限に抑え、処理スループットを向上させるものですが、非常に複雑なテクノロジーです。イマジネーションテクノロジーズは、困難だが大きな可能性を秘めているこのテクノロジーを洗練させ、広範な特許ポートフォリオを獲得し、3Dグラフィックスレンダリングのモバイル機器市場を独占するまでになりました。

TBDRのすべての部分はハードウェアで処理され、ソフトウェア開発者には完全に見えなくなっているため、最大限の互換性とパフォーマンスが確保されます。PowerVR独自のスマートパラメータ管理テクノロジーにより、TBDRレンダリングを小さな占有メモリで実行できるため、メモリを浪費せずに高度に複雑なタイルの互換性が確保されます。

テクスチャ圧縮

テクスチャ圧縮は、アプリケーションのファイルサイズとダウンロード時間を削減します。また、帯域幅消費を絶対的な最小値に抑えることで、スマートフォンやタブレットなどのモバイルプラットフォームの実行時パフォーマンスと電力消費を劇的に改善します。

評価の高いPVRTC不可逆テクスチャ圧縮(TC)形式は、今日のモバイル業界で最も広く使われるテクスチャ圧縮形式の1つで、10億台以上のデバイスに実装されています。この圧縮が、すべてのPowerVR SGXおよびPowerVR Rogue GPUで、ハードウェアアクセラレーションにより実装されています。PVRTCはRGBとRGBAの両方の形式をピクセルあたり2ビットまたは4ビットに圧縮できます。それに対して標準の32ビット形式の圧縮率は8:1から16:1です。

PVRTC2はPVRTCが持つ多くの強みを基礎にした大幅な圧縮テクノロジーのアップグレードで、Series5XTおよびSeries6デバイスに次のような幅広い新機能を追加します。

ASTCは効率的なテクスチャ圧縮テクノロジーで、ピクセルあたり8ビットから1ビット未満まで幅広いテクスチャ形式のエンコードが可能です。ASTCはKhronosとの協力プロセスのもとで開発され、モノクロ、輝度アルファ、RGB、およびREBA形式をサポートするとともにサーフェス法線のX+YおよびXY+Z形式をサポートし、形式とビットレートを問わずエンコードできる柔軟性を備えています。特筆すべきは、エンコード方式を画像内のピクセルのブロックごとに独立して選択できるということです。これによってコーディングが、画像の領域単位で最も効率良く画像を表示するように動的に適応します。

シェーディングエンジン

USSE (PowerVR SGX)とUSC (PowerVR Rogue)

PowerVR Series5 GPUはUnified Scalable Shader Engine (USSE)に基づいており、1~4個のパイプラインで効率的なパフォーマンススケーリングが可能です。PowerVR Series5XT GPUは、機能全体で浮動小数を2倍にしてスケーラビリティを8個のパイプラインに拡大することで、USSE (version 2)の機能セットとパフォーマンスを拡張しています。

PowerVR Series6 ‘Rogue’ GPUはパイプラインクラスタアプローチであるUnified Scalable Cluster (USC)を実装し、各クラスタに最大16個のパイプライン、GPUに1個~8個のクラスタが搭載されています。PowerVR Series6 GPUの各クラスタには32のALUコアがあり、FP32とFP16コンピューティングで最適な性能を実現します。PowerVR Series6XTおよびSeries6XE GPUは、FP16 ALUの数を2倍にすることでパフォーマンスが劇的に改善されています。

USSEとUSCの両方のアーキテクチャは著しいマルチスレッド、マルチタスクアプローチに基づいており、データドリブンな実行モデルを使用してハードウェアで管理と負荷分散を行うことで、パイプライン内の算術ユニットを可能な限り最も効率良く利用できます。このアプローチではデータの可用性に基づいてタスクのスケジュールが設定され、個々の処理タスク間のスイッチングによってデータ依存性ストールが確実に阻止されます。

マイクロカーネル

すべてのPowerVR GPUは、ソフトウェアファームウェアを使用して管理されます。このファームウェアによって、より上位レベルのイベントがGPUレベルですべて制御されます。このアプローチには様々なメリットがあります。GPUの実行がソフトウェア制御ファームウェアに基づく場合に、最大の柔軟性を維持しながら、メインのホストCPUからほぼすべての割り込み処理を完全にオフロードできることなどです。

PowerVR Series5/5XT GPUでは、マイクロカーネルのファームウェアがUSSEパイプライン上で実行され、最適なシリコン面積利用率が確保されます。PowerVR Series6 GPUでは、マイクロカーネルの実行が専用のCプログラミング可能なマルチスレッドマルチコントローラに移動するため、GPUの完全なデバッグが可能です。GPUのソフトウェアベース管理によって、今後の市場の要求(PowerVR GPUでのOpenCL使用など)に適合する柔軟性が確保され、最小のCPU負荷(すべての割り込みをローカルで処理)と最適なパフォーマンス(優先順にベースのGPUタスク実行)が実現します。また、マイクロカーネルは、作業負荷をDVFSとSoC内のパワーゲーティングロジックに戻す信号を出力することで、先進的な電力管理機能にも役立っています。

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